このごろ思うことなど

ふと思ったこと、思いついたこと、作ってみたものなどについて書いています。

日本人の好きな花は

 私にとって、最初に春を感じる花は白木蓮だ。駅までの通り道、区役所の周りの街路樹に花が咲き始めると、春だな、と思う。大ぶりのぽってりとした花びら。やわらかな白。青空をバックに、静かに咲いている花を見上げながら、足早に駅へと急ぐ。
 やがて、桜が咲き始める。駅前の川沿いの桜、近所の運動公園の桜、それまでひっそりと立っていた木々が、俄然注目を集めて存在感が増してくる。桜並木はワシントンにだってあるけれど、なぜかこの時期は日本人であることを意識してしまう。木々は、示し合わせているとしか思えないほどに、一斉に花を開き始める。今週末かな、来週かな、とタイミングを見計らい、そそくさとお花見に出かける。やがてまた、一緒に仲良く散ってしまう。すぐに若葉が茂り始める。そうすると、桜のことなんかみんな忘れてしまうのだ。
 そして今、家々の垣根を彩っているのはツツジの花だ。家を出て少し歩くと、中央が赤っぽくて花びらが白いツツジが目に入り、その向こうにオーソドックスな赤紫の花が咲いている。坂を下っていくと、そこここの家でツツジが咲いている。駅の近くには、真っ白な花のツツジもある。みんな綺麗だけれど、私のお気に入りは朱色の花のツツジだ。葉の緑とのコントラストがすばらしく、花がくっきりと浮かび上がって来るようだ。こんなにも沢山の、そして様々な色のツツジが植えてあることに、毎年のことなのだが驚いてしまう。日本人はツツジが好きなのだな、と思う。
 でも、もう少しすると、やっぱり紫陽花かな、と思うのだ。これも例年のことなのだけれど。