このごろ思うことなど

ふと思ったこと、思いついたこと、作ってみたものなどについて書いています。

街並みと国民性

通勤で住宅地を縫うように歩いていると、家のデザインや外観が時代によって移り変わっていることが分かる。どの家が同じころに建てられたのか、だいたい想像がつく。最新のおしゃれな外観の家も、「あのころ流行ったよね、ああいうの」と、やがて言われるようになるのだ。だから自分の家を建てるとき、「いつ建てられたのか、分からないような家にして欲しい」と設計士にリクエストした。もっと趣向をこらしたかったようだが、こちらの希望どおり、オフホワイトのモルタルの壁に、赤いスレートの屋根というシンプルな外観になった。ついこの間建てたような気がするのだが、確か来週でちょうど9年になる。狙い通り、時代不詳なたたずまいになったように思う。

仕事で訪れるイギリスのケンブリッジは、本当にいつ建てられたのか分からない家々が並んでいる。日本の街並みとは対照的で、当たり前だと思っていたモザイクのような日本の住宅地が不思議に思えてくる。ケンブリッジに長期出張した同僚が、「築浅のアパート」をリクエストしたら、「築100年と200年があるけど」と言われたとか。彼の地では、建っている家を買うのが当たり前で、家を建てるなんて考えられないと聞いた。地震の無い土地柄と堅牢な建物が、そのような文化を作ったのか。それとも、歴史のあるものを尊ぶ文化が先なのか。イギリスのことは分からないけれど、日本の場合は、新し物好きな性質がモザイクの街を作っているような気がする。