このごろ思うことなど

ふと思ったこと、思いついたこと、作ってみたものなどについて書いています。

ハイレゾは買いか?

 ハイレゾオーディオが流行っているようです。

 ハイレゾというのは、日本語で言えば高解像度ということです。解像度と言えばおなじみなのがテレビです。昔のアナログ放送から、地デジに変わったとき、だれの目にも明らかに絵がきれいになりました。このとき、解像度はざっくり2倍ぐらいになりました。

 ハイレゾオーディオの解像度も従来と比べてざっくり2倍ぐらいになっています。それで、どれほど音がきれいになったかと言うと・・・実は画像とは少し事情が違います。音の場合の解像度というのは、音の波形を表現するのに1秒間に何点とるか、ということを表しています。点数が多いほど音の細かい波形を表現できるというわけです。テレビなら近づいたり、大画面で見たりすれば解像度の違いが良く分かりますが、音は波形そのものが見えるわけではありません。音の場合は、細かい波形が表現できるということは、つまり高い音が出せるということになります。

 今までのオーディオは2万ヘルツぐらいまでの音が出せましたが、ハイレゾだと4万ヘルツぐらいまでいけます。やっぱり2倍ぐらいです。従来のオーディオがなぜ2万ヘルツまでしか出せないかというと、人間が聞こえる音の高さの上限が2万ヘルツだからです。そうすると、ハイレゾになって出せるようになった2万ヘルツから4万ヘルツの音は、人間には聞こえない音、いわゆる超音波ということになります。ハイレゾオーディオは、一言で言うと超音波の出せるオーディオです。

 それじゃあ、普通のオーディオとハイレゾでは、聞いた感じは何が違うのでしょうか?分かりません。原理的には違わないはずですし、私は同じだと思います。だからハイレゾは買いません。今日、ハイレゾスピーカーを触る機会があったので、試しに超音波を再生してみましたが、まったく聞こえませんでした。あたりまえです。聞こえない音を超音波というのですから。画像と違って、スピーカーに近づいても、ボリュームを大きくしても聞こえるようにはなりません。聞こえないというだけで音は出ていますから、ボリュームを上げすぎるのはやめましょう。耳を傷めないとも限りません。

 もし聞いて違いが無いならば、なぜ高いハイレゾ機器にお金を払う人がいるのでしょうか?売れているということは、何か違いがあるのでは?でも、世の中には効果が無い、あるいは分からないのに売れているモノがたくさんあります。健康食品などが良い例です。何億円も売り上げた健康食品が、有効成分が入っていなかったという理由で販売差し止めになったりしています。それだけ売り上げたということは、何度も繰り返し購入している人が大勢いるはずです。

 正直に言えば、ハイレゾと従来のオーディオをキチンと聞き比べたことはありません。電気店の店頭で、ハイレゾイヤフォンと従来品を聞き比べたことはありますが、それではハイレゾか否かの違いの正しい比較はできません。イヤフォンが違うということは、聞こえる音の範囲での特性の違いがあるかもしれないからです。正しくは、ハイレゾ対応の同じイヤフォンやスピーカーを使って、同じ曲のハイレゾ音源と従来音源を聞き比べる必要があります。そうすれば、聞こえる音は全く同じになるはずなので、超音波の有無が比較できます。ただし、どちらがハイレゾか分からないように、ランダムな順番で聞く必要があります。「こっちがハイレゾ」と言われればそちらが良い音に感じる現象が生じるのは心理学的にはあきらかだからです。

 私は、そんな正しい聞き比べをやるまでもなく、違いが判らない自信があります。まあ、そもそもオーディオマニアというわけでも無く、CDの音とMP3の音の違いも良く分からないのに、ハイレゾを聞き分けろというのは無理な話です。

 実はハイレゾは、点の数が多いだけではなくて、1点の情報量が多いという違いもあります。そのため原理的には、デジタル信号では避けられない雑音が小さくなるという効果があります。とは言え、従来オーディオでもその雑音は、音楽と比べて十分に小さく、聞き取れないレベルですので、それをより小さくしたからといって音質が向上するとは思えません。やっぱりハイレゾは買いません。