このごろ思うことなど

ふと思ったこと、思いついたこと、作ってみたものなどについて書いています。

サンタクロースを廃業した理由

 私には、サンタクロースの存在を信じていたという記憶が無い。物心ついたときから、クリスマスのプレゼントは両親からもらうものだった。当然、両親に「あれが欲しい」とお願いしていた。何の問題も無かった。

 自分が親になり、子どもたちの物心がつくころ、世間並みに「サンタさんに何をお願いする?」というのを始めてしまった。やめようって言ったのか言い出せなかったのか忘れてしまったけれど、あまり気乗りはしなかった。でも、サンタがいないなんて子供に言うのは「夢が無い」という空気はあった。

 以来、何年も「サンタクロース」としてプレゼントを送り続けてきた。でも、息子が中学生になったとき、とうとう我慢がならなくなって、サンタを廃業することにした。息子には、「まさかサンタクロース信じてないよね」ぐらいでOKだった。当然だ。問題は、当時小学5年生の娘だった。もう小5ならサンタを頭から信じているなんてことは無いだろうとは思ったが、ちょっとだけ婉曲に「サンタはもう来ないから、これからはパパとママがプレゼントをもらって」みたいなことを書いた手紙を枕元においた。「やれやれ、サンタはやめちゃうんだね」的な反応かと思いきや、大泣きされて心底驚いた。でも、後戻りはできないし、後悔もしていなかった。

 振り返って、何が我慢できなかったのか考えてみた。一つは、やはり子供に嘘をつくのが気持ち悪かったのだと思う。夢があろうが無かろうが、子供を騙していることに違いはない。まして、子供の方もうすうす騙されていると気が付き始めてからもなお、騙そうとし続けるなんて嫌だった。プレゼントを送っているのは親なのだから、親に感謝すべきだという思いもあった。サンタなんてやつじゃなくて。また、非現実的な存在を子供が信じているということに対する嫌悪もあったかもしれない。煙突が無くても、どこからともなく侵入して、全世界の子どもたちに一晩のうちにプレゼントを届けるなんてことを信じているはずがないと思いたかった。

 少年少女がこのブログを見ることなんて無いとは思うけれど、もしこれを読んでいるあなたが両親から「サンタさんに何をお願いする?」と聞かれたら、こう答えよう。「今までプレゼントありがとう。これからはサンタさんじゃなくて、パパとママからプレゼントして欲しい」って。ちょっとがっかりされるかもしれないけれど、その方が健全だと私は思う。